うつ。家族との断絶。でも本当は・・・
近頃、大学生の息子とうまく距離が取れなくなってきた。
それまでは度々僕のところへやってきてはいろいろな話をしてくれたものなのだが、近頃ではそんなこともさっぱりなくなってきた。
たまにやってきたと思っても、それは大抵何か頼みごとをしたりする時のみで、非常にあっさりしたものである。
寂しいことだが、父親と息子らしい温かい心の交流などというものは、少なくとも今現在の我々親子には全くないと言ってよい。
こうなった原因は、やはり僕がうつになったことであろう。
この病気になってからというもの、とにかくありとあらゆる人間関係が疎ましくなり、僕はますます自分の殻に閉じこもるようになってきた。
そしていつしか家族に対する関心も薄れてきて、それを察知した息子は、当然のことながら僕を避けるようになってきた、というわけなのだ。
もう成人したとはいえ、まだまだ人生経験も未熟な息子のことである。本当は父親に相談したいことも色々あるだろうに、肝心の父親がこのざまではそれもままならない。
今息子は、どんなにか情けなく、辛い思いをしているのであろうか。
それを思うと、内心忸怩たる思いにとらわれるのであるが、さりとて自分でもどうしてよいのかが分からず、僕は今も部屋の中に閉じこもっている。
ダメおやじ、ここに極まれり。
しかし僕だって、いつまでもこんな状態に甘んじているつもりはない。
なんとかこのうつから脱却して、父親として堂々と胸を張って生きてみたい。
だが、今はまだどうにもできないのだ。それがすごく悔しい。
ああ早く!一日も早く、このうつから脱却したい。
家族への愛を自分の中に取り戻し、もう一度妻や息子と普通の幸せな生活を送りたい。
人並み以上など望まないから、せめて、人並みの穏やかな生活がしたい!
・・・こうして今日も、自ら家族と断絶した僕は、またしても矛盾した感情に捉えられ、ひとりもがき苦しむのであった。